映画:あまくない砂糖の話

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オプティマルヘルス・セミナーではいつも「砂糖を摂らないようにしましょう」というお話しをしていますが、その「砂糖」の現状について、わかりやすくまとめた「あまくない砂糖の話」という映画があります。

映画の冒頭で驚くべき事実が明かされます。それは、「オーストラリアの平均的な4人家族が一週間に消費する砂糖の量は6kg」ということ。
もちろん、当の本人達はそんなに食べているとは思っていません。ほとんどの食品に砂糖が使われていて、それらを足していくとそうなってしまうのです。
砂糖を含む商品をスーパーから取り去ると「80%は消えてしまう」そうです。現代社会は砂糖と切り離せないのです。

1955年にアイゼンハワー大統領が心臓発作で倒れたことをきっかけに、心臓病に対する関心が高まりました。
そして、心臓病の原因について2つの説が生まれたのです。

  • アメリカのキーズ博士:脂肪が原因
  • イギリスのユドキン博士:砂糖が原因

このキーズ博士は、「コレステロールが動脈硬化など病気の原因」との説を主張した人です。現在は、アメリカで食事におけるコレステロール摂取量の上限が撤廃され、日本動脈硬化学会は「食事内容で体内のコレステロール値は変化しない」との発表をしており、キーズ博士の説は否定されています。

結局、1970年代の終わりにキーズ博士がが勝利し、「悪者は脂肪」とされ、砂糖は無罪になりました。
そして低脂肪ブームが始まり、「低脂肪こそ健康的」ということで、食品業界も「健康食」を売るために脂肪の削減に力を入れたのです。

脂肪を減らすと、カロリーが不足し風味も劣るため、それをカバーするために重宝されたのが「砂糖」です(私の実際の経験ですが、90年代にアメリカに行ったとき、低脂肪の食品はたくさんあるのに、どれも砂糖がたくさん入っていたのに驚いた記憶があります)。

この映画で行っている実験

この映画では、一日あたりティースプーン40杯の砂糖を摂取し、それを60日続けたらどうなるか?という実験をしています。
ここで「ティースプーン40杯」と聞くと、「私はそんなに食べていないから大丈夫」と思う人がほとんどでしょう。映画で自ら実験をしているデイモン・ガモーもそう思っていたようです。しかし、初日の朝食で驚くべき出来事が起こります。

その日の朝食はこんな感じです。

  • シリアル
  • ヨーグルト
  • リンゴジュース

それだけみたら「結構ヘルシーじゃない?」と思うようなメニューです。しかし、そこに含まれている砂糖の量は、なんと、ティースプーンで20杯分!ジャンクフードなし、しかも朝食だけで一日の半分の量になってしまったのです。

糖の摂取について

昔の人々は、カロリーが足りなかったので食べ物を選り好みすることはできませんでした。特に糖分は少量しか摂取できなかったので、それを口にしたときは最大限に摂取する脳力を身につけました。そのため、現代のように簡単かつ大量に摂取できる糖分は、体との相性が良いとは言えないのです。

人類の長い歴史では糖分が少なかったため、人は本能で甘味を求めます。子供のうちから砂糖になれると、甘いものばかりを食べたがり、野菜を食べなくなってしまいます。

動物も同じで、ある論文によると「実験用のラットはコカインよりも砂糖に対してより執着を見せた」とされているほどです。

甘いものを摂ると何が悪いのか?

甘いものを見ると「ドーパミン」が分泌されます。糖が貴重だった頃のクセで、脳は「摂取しろ」と命令するのです。そしてそれを摂取して実際に甘味を感じると、βエンドルフィンなどオピオイド類が分泌され、気分は最高潮に達します。しかしこれは長続きしないのです。すると、再び良い気分になりたいため、甘いものを食べ続けようとして、その行動が習慣化してしまいます。

こうして、次第に砂糖の摂取量が増え、ますますそこから抜け出すのが難しくなってしまうのです。砂糖はタバコと同じで、常習性があるのです。そして、タバコと同様に体に大きなマイナスの影響を与えます。

砂糖と脂肪のカロリーは違う

食品業界は50年以上にわたり「肥満はカロリー過多と運動不足が原因」としてきました。

しかし、この映画では、実験前と実験後の摂取カロリーは同じだったにも関わらず、体重は増え、ウエストは太くなり、肝臓の機能は低下、血中脂肪は上昇と、あきらかに体調は悪化しました。

違いは、実験前はアボカドやナッツなど、健康的な脂肪を多く摂取していたのが、実験開始後は低脂肪で糖分の高い食品になったことです。摂取カロリーは変わらずジャンクフードも避けたのに、このような影響があったのは驚きです。そして、デイモン・ガモーは、実験前は健康である上位20%にいたのに、わずかな期間で不健康な下位10%の仲間入りをしてしまいました。

あまりにも生活に入り込んでいる砂糖。それを摂るかどうかは自由です。そして、砂糖をゼロにするのは現実的に無理でしょう。でも、砂糖が体にどのような影響を与えているのか?どのようなリスクがあるのか?を知り、もしも「減らそう」と思えば、砂糖の摂取を少なくすることは可能です。

ぜひ、一人でも多くの方に観ていただきたい映画です。

この映画はストリーミングで観ることができます

「あまくない砂糖の話」は、2021年4月末時点でAmazon Primeなどで観ることができます。

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